支援させて頂いている製造業で、担当の方と不良の記録を一緒に画面で眺めていたときのことです。しばらく黙ってスクロールしていた担当の方が、ふと手を止めてこう言いました。
「不良の原因、AIに分析させてみたんですが、なんか微妙で」
これ、実は意外とよくある話なんです。
最近はAIのレベルが上がっているのでふわっとした命令(プロンプト)でも結構うまく分析できることもありますが、イメージ通りにいかないことも多い。データは十分な数あるし、AIは賢いからそのまま渡せば原因くらい見つけてくれるんじゃないか、と思うかもしれませんが…
その答え、簡単です。
私はこういった時に「原因の分析をして」と依頼せず、「ABC分析をして」と依頼します。
「ABC分析」というキーワードが入ってると全然結果が違ってきます。

「原因を分析して」だと、返ってくるのは一般論ばかり
そのまま「原因を分析して」と頼むと、返ってくるのは作業のばらつき、材料の変動、設備の経年といった話などなど。どれも間違ってはいないものの、明日から何をすればいいのかピンと来ない回答です。
理由は単純で、こちらが何を知りたいのかを決めないまま丸投げしているからです。
もし私が上司から「うちの不良、なんとかならない?」と振られたら、何を求められているか細かくわかりません。「何の不良の話なのか、どの工程なのか、いつと比べて多いのか」と悩んでしまい、とりあえず当たり障りないことを幅広く答えてお茶を濁すというか探りを入れるというか。
実はAIも同じで、賢いかどうかの前にこちらの問いが曖昧だから返事がぼやけているわけです。
ABC分析は、パレート分析とか2:8の法則とも呼ばれます
名前だけ聞くと難しそうですが、やること自体は単純で、不良を件数の多い順に並べて、上から順にどれが全体のどれくらいを占めているかを見るだけ。
「売上の8割は、上位2割の商品から生まれている」…といった話をどこかで聞いたことはないでしょうか。あれと同じ考え方を、不良の記録に当てはめる分析がABC分析です。
たいていは上位の20〜30%くらいで全体の大半を占めて、残りは細かく散らばるような結果が出ます。これをやると重要な要素が見えてきます。
「一番多いこの不良は、どの工程で出ているのか」「先月と比べて増えているのか」といった具合に、最初のぼんやりした相談が答えられる質問に変わってきて、具体的なアクションにつなげやすくなります。
ただ、これまではこれをExcelでやろうとすると、ひと手間もふた手間もかかりました。COUNTIFで件数を数えて、多い順に並べ替えて、累積の割合を出す列を足して……。
つまり、数式の入れ方を知っている人にしかできない作業でした。
いまは「ABC分析」という言葉さえ知っていればいい
ここが一番お伝えしたいところで、やり方を覚える必要はありません。
「このデータでABC分析をして」
これだけです。手順も数式も並べ替えの操作も要らず、言葉さえ知っていれば、あとはAIが全部埋めてくれます。
研修でこれをお見せしたとき、「え、それだけですか」という顔をされました😅
覚えるのは、やり方ではなく言葉のほうです。
Excelの中のAIに話すだけ、というのが効いてきます
もうひとつ、最近はClaude for Excel や ChatGPT for ExcelといったExcelの中で動く便利なサービス——プラグイン型AIが出てきました。代表的なものはExcelの中に入っているものですが、他にもWordやPowerPointの中で動くものもあり、使うとぐっと楽になります。
従来のWebチャットでChatGPTやClaudeを使った時は、ファイルを添付して、指示を書いて、返ってきた結果をコピペするか、直してもらったExcelをダウンロードする…というように、Excelを処理してはくれますが人間の手間はなんだかんだ残っていました。
しかもダウンロードしたファイルは、デザインが崩れていることがあり、そこを直すのにまた時間がかかる。分析そのものより前後の往復のほうが手間だったわけです。

しかしプラグイン型なら、Excelを開いたまま、その中のAIに話すだけ。一度きりならどちらでもあまり変わりませんが、何回も作業していると差が出てきます。
まず、これだけ試してみてほしい
手元に、件数や金額が並んでいる表はないでしょうか。不良の記録でも、売上の明細でも、請求の一覧でも構いません。開いて「このデータでABC分析をして」と頼んでみてください。
上位のいくつかで全体の大半を占めている、という形が見えたら、そこが手をつける場所。ABC分析は不良に限った話ではなく、数が並んでいるものなら何にでも当てはまります。
原因が分かるわけではありませんが、次に何を訊けばいいかは見えてきます。そこから先は、AIに訊きながら進められると思います。
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