先日、コンサル先のスタッフから相談を受けました。

「Claude in Excelでデータ分析を進めていたんですが、いったんExcelファイルを閉じちゃったんです。もう作業の続きはできないんでしょうか?」

普段からClaudeに触れてはいるけれど、Excelアドインは新しく入れたばかり。毎回起動すると会話が真っ白に見えるので、スタッフが不安になるのも無理はないのです。

でも結論から言うと大丈夫。Claude in Excelには Chat History と Session Logging という2つの仕組みが用意されています。これを使うと「閉じても戻ってこられる」「何をやったか後から追える」状態を作れます。

最近この2つを本格的に使い込んでみて、想像以上に便利だったので実験メモとして残しておきます。

Chat History ― 閉じても、ちゃんと会話は残っている

Claude in Excelを起動すると、毎回まっさらなチャット画面が出てきます。普通に見ると「前の会話はリセットされた」と感じるのですが、実はサイドパネルの右上から Chat History を呼び出せます。同じファイルで交わした過去の会話がきちんと残っているのです。

冒頭のスタッフの件では、一緒にChat Historyから前回の会話を選び、Claudeに「続きからお願いします」と一言入れただけで作業が再開できました。

「閉じたらリセットされる」と思い込んでいると、作業を中断するのが怖くて区切りの悪いところまで粘ってしまう。これ、中小企業の現場ではあるあるだと感じています。Chat Historyがあると「ここで一旦お昼にしよう」「続きは午後イチで」と気軽に切れるので、作業のリズムがぐっと良くなります。

サブ的な使い方:別ブックの会話を引き継ぐ

メインの使い方とは別に、別のExcelブックに会話履歴を引き継ぐこともできます。A社の売上分析をしていて、似たような構造のB社のブックを開いたときに、前の会話を呼び出せると話が早い。

ただ、Excelのデータ自体は別物なので、何も言わずに呼び出すとClaudeが混乱します。そこで使っているプロンプトがこれです。

別のブックの会話を引き継いでいるので、これまでの会話から復元できるものを復元してください。分からないことは補うので私に質問してください。

この一文を最初に打っておくと、Claudeの方から「前回はこういう分析をされていましたが、今回のブックではこの列に該当するものはどれですか?」と聞いてくれます。人間とAIで分担して前提を揃えるイメージですね。

Session Logging ― 「半年前の自分は他人」問題を救う

もう一つのお気に入りが Session Logging です。Settingsから Session logging のトグルをONにすると、Claude が「Claude Log」というタブをExcel内に自動生成してくれます。各ターンで何をしたかが全部記録されていく仕組みです。

これ、何がいいかというと、半年前の自分を助けてくれるのです🙂

現場で「このシート、誰が何を計算した状態なんですか?」という会話はよく出てきます。複数人で作業していれば他人の仕事の流れは見えないし、半年前の自分だって他人も同然。私自身、3ヶ月前に作った集計シートを見返して「なんでここで絶対参照にしたんだっけ?」となることは日常茶飯事です。

Claude Logがあると、

  • 自分用の作業メモとして後から読み返せる
  • Claude自身も次回起動時にLogを参考に会話を続けてくれる
  • 「ここで一度SUMIFSに切り替えた」という判断の軌跡が残る

特に嬉しいのが2つ目で、Chat Historyとの合わせ技になります。別の日に作業を再開したとき、Chat Historyで前回の会話を呼び出し、Claude Logで実際にシートがどう変わったかを照合できる。「イチから説明しなおし感」がほぼなくなるのです。

コンサルの現場では「AIに任せたのはいいけど、何をしたか説明できない」という不安がよく出てきます。Session Loggingはその不安を確実に下げてくれる機能だと考えています。ツール選定で悩む前に、まずこのトグルをONにしてほしいくらい。

Let Claude work across files ― Copilotより使いやすい、の謎

最後におまけで、Let Claude work across files についても触れておきます。

これは2026年3月から追加された機能です。Settingsで同名のトグルをONにすると、ExcelとPowerPointを同時に開いているときに、Claudeが両方のファイルを同じ会話の中で扱えるようになります。

まだお試し程度にしか使っていないのですが、やってみたのは「Excelで作った売上推移の表を、PowerPointの提案資料スライドに反映する」という作業です。いつもだとExcelの表をコピーしてPPTに貼り付け、フォントやレイアウトを調整して…という手順を踏みます。でもこの連携機能を使うと、レイアウト調整まで向こうでやってくれるのです。

サブディスプレイがあればさらに面白くて、向こう側でClaudeに作業させておいて、こちらのメインディスプレイで別の案件を進める、という並行作業が成立します。

Wordとの連携はまだ試していないのですが、「Wordで書いている提案書の中に、Excelで立てた計画値や試算結果を差し込む」という使い方ができそうで、ポテンシャルを感じています。

で、正直なところ、Microsoft Copilotと比べても明らかにClaudeの方が使いやすいと感じています。Copilotは公式中の公式なのに、ですよ。公式より便利ってどういうこと?(笑)

かゆいところに手が届く感じというか、「こう動いてほしい」と思った方に素直に動いてくれる印象があります。

3つの機能に共通するのは「安心感」

で、振り返ると、どれも派手な新機能ではありません。履歴と連携で安心感を作る地味な機能ばかりです。でも、中小企業の現場でAIを定着させるときに本当に効くのはこういう部分だと感じています🙂

  • 閉じても戻ってこられる(Chat History)
  • 何をしたか説明できる(Session Logging)
  • 他のファイルとも自然に繋がる(Let Claude work across files)

この3つが揃うと、スタッフに「AIに任せて大丈夫だよ」と言いやすくなります。逆にこの3つが揃っていないと、一人で抱え込んで使い方が定着しないのです。「わかる」を「できる」にし、「続けられる」に変えていく。その入口になるのが、この地味な3機能だと考えています。

まずはSettingsを開いて、Session logging のトグルをONにするところから試してみてください。Chat Historyはサイドパネル右上から呼び出せます。小さな変化ですが、Excel作業の心理的なハードルがひとつ下がる感覚を味わってもらえればと思います。


ExcelとAI の記事はこちらにまとめています。